撮影機材の選定並びに設定方法

2.撮影機材の選定並びに設定方法・・・CANONの機材において
2.1 カメラとレンズの選定
(1)使用カメラ
・EOS7D(1DMarkUNは重かったので売却):高速連写(約8枚/秒)が可能なカメラで,カワセミ等の飛び込みもの,小鳥ののホバリング撮影に威力を発揮します。一番重要なAF性能は最新('10.06.30現在)のカメラであるので,以前のカメラより性能は高い。AF機能にスポットAFがあり,ゴチャゴチャした撮影場所でのAF性能が高い。連写性能はRAW画像で15コマとなっているので不便はない。

(2)使用レンズ
・EF500mmF4L IS:一番使用頻度の高いレンズですが,3脚+雲台を含めた質量が重たく,運搬に耐える場所(大阪城や車で行き余り歩かない場所)か勝負写真以外では使用しない。
・EF400mmF5.6L:解像度には定評のあるレンズで,軽くて軽快ですが暗いのが難点です。但し,手ぶれ防止装置が付いていないので3脚が必需品となります。山や,長距離を歩く場合,撮影したい野鳥が明確でない場合に使用します。
・EF300mmF4L IS:手ぶれ防止付きのレンズですが焦点距離が短く野鳥撮影にはテレコンが必需品となります。多少画質が落ちますが1.4倍のテレコン着用して撮影します

2.2 カメラの設定
(1)露出制御方式
 絞り優先AV(自動露出)モードで使用します。出来るだけ,シャッタースピードを稼ぎたいのと,綺麗な背景暈けが欲しいので絞り値を固定します。
(2)フォーカスモード
・通常はワンショット・スポットAF(オートフォーカス)のみの撮影です。こちょこちょ動く野鳥に追従並びにAF精度の方がMF(マニュアルフォーカス)よりピント精度が高いため。
・MFは枝被り等でAFが効かない場合,テレコン装着でAF動作が不可能な場合に使用します。
・餌付けで鳥を呼び寄せる場合は,例えば,カワセミの場合は囮籠にAFでピントを合わせ,その後MFに切り換えて構図を決めます。通称,置きピンモードです。
・AIサーボAF(動体追従AFモード)は飛翔する野鳥を追従撮影する場合に使用。人によっては,MFモードで野鳥を追従撮影して目にピントを合わせると言う人もいますが,真偽の程は不明です。
(3)ファイルサイズ
・撮影後の色温度調整,多少の露出補正が簡単なためRAW画像に設定。その他,コントラスト,シャドー,シャープネス調整もRAW画像なら12ビットデータを調整するので劣化が少ない。因みに,JPEG画像は8ビットなのでRAW画像と比較して約1/4000のデータ量しかないことになる。(但し,この違いを,目で確認することは難しい。)RAW画像に設定すると,画像の彩度,シャープ,コントラスト等はRAW画像現像時に設定するので,カメラ側では標準設定です。
・どうしてもJPEG画像で撮影する場合にはL(ラージ)画像に設定。
 何れにしても,撮影後に殆どの場合はトリミングが必要と考えた方が良い。
(4)色空間
sRGBとAdobe RGBがありますが,一番普及しているsRGBに設定。
(5)ホワイトバランス
 RAW画像がメインなので,ホワイトバランスを余り気にする必要がないが,カメラのモニターでも画像確認を行うので「オート」に設定。オートホワイトバランス設定が,他の設定より見た目に近い色温度に自動的に調整してくれると思います。
(6)ISO感度設定
・標準設定を400とする。400に設定すると,原寸に近いトリミングを行った場合に,暗部にノイズが認められる場合があります。これを無視してでも400に設定する理由は,
@シャッター速度は最低でも1/100秒以上を確保したい。日陰の暗部にいる野鳥撮影ではISO400でも,このシャッター速度を確保できない場合があるので,常時ファインダー内のシャッター速度を確認する必要がある。(但し,初見の野鳥の場合には,野鳥に見とれてシャッター速度を確認していない場合が多々あります。)シャッター速度を確保出来ない場合で,野鳥が動かない場合は1/50秒まで我慢するが,これが確保できない場合,並びに野鳥がこちょこちょ動く場合はISO感度を800を限度として上げる。1600まで上げた場合の画像は,証拠写真レベルでしかない。
A直射日光下の野鳥撮影において,最高シャッター速度の1/8000秒を越えることが少ない。
B本来は,ノイズ低減の観点からISO感度は400より低い方が良いが,直射日光下から暗がりの部分に野鳥が入った場合,ISO感度を切り換えている余裕が無いからです。
・水鳥撮影等で,常に明るい環境で撮影できるのなら,ISO感度を200に下げる場合があります。なお,飛翔撮影も行うのであればシャッター速度は最低でも1/1000秒以上が確保できることを確認すること。
(7)AFフレーム選択
 ピント合わせのポイントは目です。目にAFフレームを合わせて構図を決めるのが理想ですが,小鳥の場合ピントが逃げたり,なかなか時間的な余裕がありません。
@ワンショットAFの場合
・通常精度が一番高い中央のAFフレームを使用する。中央ばかり使用していると,構図的に日の丸写真(図鑑写真)となるが,先ずは近くで野鳥を撮影させてくれないのでトリミングで逃げれます。
・至近距離で撮影できる場合や,大型の野鳥の場合はセンターフレームで目にAFロックを行い,カメラを振ることで日の丸構図を避ける。この場合,コサイン誤差で目のピントが甘くなる場合には,AFロックした状態でMFで微調整を行います。
・コサイン誤差が気になるようであれば,野鳥の目に近いAFフレームを選択します。
AAIサーボAFの場合
・センターフレームで動体追従が可能な撮影力があれば,中央のみの選択でよい。
・HP作成者のように,撮影が下手な人は多点AFをフルに使用する。7Dは11点,1DMarkUNは45点のAFフレームがあるので,飛び物の撮影はAFフレームを自動選択として撮影する。AFフレーム自動選択は,一番近い被写体にピントをあわせに行くので,前方に遮る物がなければ撮影が簡単となる。
(8)測光方式
・通常,スポット測光を選択する。
・至近距離のでの野鳥撮影やAFロック後にカメラを振って構図を変える場合には部分測光に設定する場合もある。しかし,カメラを振る場合にはスポット測光後にAEロックを行って撮影する方がベターである。
(9)絞りの設定
@どのようなレンズでも絞り込むことにより画像の解像度が上がる。(但し,デジタルカメラの場合はF11が限界。野鳥撮影では敢えてF11までは絞らない。)使用レンズがF2.8の様に明るいレンズであれば,1段(F4)絞り込む方が良い。
A明るいレンズでない場合でもシャッター速度が許す限り1段程度以上絞り込む。(例:F4→F5.6,F5.6→F7.1)シャッター速度が許す限りとは,止まり物で1/100秒以上,飛び物では1/1000秒が最低シャッター速度と考える。言い換えれば,確保できるシャッター速度は絞りの値により決定される。
B開放に近いほど,被写体との距離が近いほど被写界深度(ピントが合っていると判断できる範囲)が浅くなる。ピントの合う範囲は,カメラの絞り込みボタンで確認出来るが,使用したのとがない。(そのような暇がない。)使用レンズにおける絞り値と被写体間距離による被写界深度を理解して置いた方が撮影に便利である。
C被写界深度を無視した場合,絞りが開放に近いほど背景の暈けが綺麗になる。但し,野鳥と背景となる物の距離が近ければ,暈け量は大差ない。
(10)ドライブモード
・野鳥は色んなポーズを取ってくれます。そのチャンスを逃さないように連写モード(8枚/秒)を標準とします。
・8枚/秒の連写モードに設定した場合,カメラのシャッターボタンで1枚のみの撮影は多少訓練が必要です。(1枚撮影するつもりが2枚撮影してしまいます。・・・でもデジタルだから気にしない方も居られますが。)それが嫌なら,カメラぶれ防止を含めてリモコン使用による撮影をお勧めします。
(11)露出補正
 カメラの設定の中で露出補正が一番難しく,経験を要する設定だと思います。デジタルカメラはダイナミックレンジが狭く直ぐに色飽和(白飛び,黒潰れ)が発生します。
 露出不足気味の撮影の方が,RAW現像及びJEPG画像のレタッチで救済はしやすいです。(露出アンダー側の方がダイナミックレンジが広い。)但し,撮影後明るく補正するとノイズが目立つようになります。
 一方,露出オーバーの画像は色情報が飽和しており,撮影後の補正で暗くしても色飽和は手直しできません。
 従って,露出補正値が不明な場合は,露出補正を色々変化させ,カメラの特性,被写体の色・明るさ,並びに自分の嗜好により露出補正値を修得する必要があります。露出補正の練習は色んな色の花の撮影をされた方が修得しやすいと思います。ただ,一般論としては次のことが言えます。
・直射日光下の順光被写体であれば,絶対にマイナス補正を行う。肉眼で見ても,色が飛んでいる被写体では−2の補正を行っても色は出ません。特に暖色系に被写体(赤色,橙色,黄色,水色等は)は色飛び(白潰れ)が発生しやすいです。
 例えば,直射日光下のカワセミは−1〜−2/3を行い,背景が暗く白色が多いミコアイサでは−2近くまで露出補正を行います。但し,大きなマイナス補正を行うと背景が暗くなり目で見た印象とかなり異なります。
・背景が明るい被写体の場合はプラス補正を行います。木立の上に野鳥が止まっており,背景が白色の空抜けの場合は+1〜+3の露出補正を行います。プラス補正も限界があり,背景が明すぎて肉眼で野鳥を見ても黒くしか見えない場合には,いくらプラス補正で撮影しても本来の色が出ません。
・HP作成者の場合,カメラはCANON製であり,色飛び(飽和)と明るすぎる画像が嫌いなのですが標準的にの補正を行います。
 測光方式(部分測光,スポット測光)による測光面積と被写体の大きさにより露出補正量が異なりますが,測光面積より野鳥の方が十分に大きければ−1/3〜−2/3で先ず問題がありません。空抜けの,背景が明るい野鳥撮影の場合は,その明るさにより+2/3〜+3まで露出補正を行います。撮影がRAW画像なので,撮影後の現像時に最悪±1ぐらいの明るさ補正は可能です。但し,+1近くの補正を行うとノイズが気になり出します。JEPG画像でも,画像の劣化を無視すると撮影後ある程度の明るさ調整が可能ですので,レタッチは必要だと思います。なお,RAW現像並びにレタッチは,撮影失敗を助けることではなく,如何に自分が見て,感じた色を写真として再現させることだと思います。幾ら測光方式が進化しても,所詮機械であり人間の目に勝る物ではありません。

2.3 その他必需品
(1)3脚
 カメラ並びにレンズの質量に適した3脚を用意
(2)リモコン
 シャッター速度が上がらない撮影となる場合が多く,シャッタ−押しブレ防止に必要。
(3)予備のCFカード
 その日の出現野鳥は行ってみないと判りません。1日の通常の撮影では撮影枚数が500枚を越えることは,先ずありませが,余裕を見込んで,1000枚の撮影可能なCFカードを用意します。(撮影枚数は個人差があります。CFカードの容量が少ないからと,撮影画像をその場で確認し,カメラ側で不要な画像を消すつもりが全消去となってしまった事例を知っています。)撮影後に,自宅でCFカードの画像をパソコンに取り込み,パソコンで画像確認後にCFカード内を消す方が安全です。
 また,遠征される場合にはCFカード容量が不足すると思われますので,メモリーストレージへの取り込みが便利です。なお,ストレージは,多少高価ですが取り込み画像が確認できるタイプを推奨です。・・・ストレージの不良により,貴重な画像が取り込めていなかった経験者ですから。
(4)予備電池
 常に電池の撮影可能枚数を把握しておき,その日の撮影予定枚数に対して十分余裕があるかを確認しておく必要があります。デジカメは電気製品であり,電池が無くなればレンズを含めて重いだけの邪魔者です。

 次は撮影の実践です。