撮影機材の紹介
野鳥撮影に使用している機材を紹介しています。カメラ,レンズ等の特徴を使用経験から解説しています。
1.カメラ
デジタルカメラを使用しています。
1.1 EOS 1DMarkUN
カメラの種類 | 概略仕様 |
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メーカ:CANON 型 式:EOS1DMarkUN(デジタル1眼レフレックス) 販 売:2005年9月28日 購 入:2006年11月4日 画素数:850万(有効820万画素) ファインダー:ペンタプリズム使用,アイレベル式 視野率:100% 倍率:0.72倍 フォーカス方式:CMOSセンサーによるTTL-CT.SIR方式 45点 起動時間:0.2秒 連続撮影速度:約8.5コマ/秒 連続撮影可能枚数:JPEG:約48枚 RAW:約22枚 質量:約1225g(レンズ,電池(335g),CFカード別) |
(1)有効画素数
野鳥撮影ではA4サイズを越える大きさのプリントは先ず行わないのでこの画素数で十分である。C−MOSサイズはAPS−Hタイプであり20Dの物より大きいのでノイズの面で有利と思われる。(実際に同じISO感度でで撮影した多少ノイズが少ない。)一方,有効撮影画角は1.3(1.26)倍と20D,30Dの1.6倍より狭いので,その分被写体が小さくなる。
(2)フォーカシングスクリーン
ファインダー像が大きくなったので,20Dの場合より多少MFが行いやすくなった。
(3)レリーズタイム
55mSなので,遅れは対して気にならない。
(4)連続撮影速度
8.5コマ/秒の速度であるので,カワセミ等の飛び物を撮影する場合には最適である。
(5)連続撮影枚数
RAW画像での撮影が殆どなので22枚ではで殆ど問題がない。
(6)AF精度
EOS-1D Mark II N ではAF用CPUとカメラ用CPUが分散処理するマルチプロセッサー構成を採用することで,より高速なワンショットAFと、より高い合焦率の動体予測AIサーボAFを実現しています。45の測距点が“面”で測距するエリアAFに加え,中央7点では高精度クロスAFセンサーにより,さまざまな撮影領域において自由なフレーミングと高いAF性能を実現します。
45点全てにF5.6対応垂直センサーを配置。さらに中央7点には,F2.8対応水平センサーとF5.6対応垂直センサーを配置した高精度クロスセンサーです。また,中央1点にはF4.0対応のクロスセンサーとF8.0対応の垂直センサーが配置されています。 ・・・キヤノンHPより
とのことで,実撮影においてワンショットAF並びに動体予測AIサーボAFは20Dより優れていることになります。では,このカメラが他社製カメラと比較して本当にAF精度が高いのでしょうか。その検証結果はここにあります。
この検証結果より1DMarkUNのAF性能は高いとは言えません。そこで1DMarkUNを使用して所有しているレンズの実写性能試験を行ってみました。その検証結果はここにありますが,レンズにより多少の違いがあるものの全てのレンズに於いて解像度にバラツキが出ます。
1.2 EOS 20D
カメラの種類 | 概略仕様 |
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メーカ:CANON 型 式:EOS20D(デジタル1眼レフレックス) 販 売:2004年9月18日 購 入:2004年10月1日 画素数:850万(有効820万画素) ファインダー:ペンタプリズム使用,アイレベル式 視野率:95% 倍率:0.9倍 フォーカス方式:CMOSセンサーによるTTL-CT.SIR方式 9点 起動時間:0.2秒 連続撮影速度:約5コマ/秒 連続撮影可能枚数:JPEG:約23枚 RAW:約6枚 質量:約685g(レンズ,電池,CFカード別) |
(1)有効画素数
野鳥撮影ではA4サイズを越える大きさのプリントは先ず行わないのでこの画素数で十分である。これ以上に画素数が大きくなると画像1枚当たりの容量が大きくなり,同じ撮影枚数ならCFカードの容量が大きくなり撮影可能枚数が減る。また,パソコンで画像処理を行う場合にレスポンスが遅くなる。また,CMOSセンサーはAPS−Cタイプであり,これ以上に画素数を大きくするとノイズが多くなる。キヤノンのカメラの低ノイズ性が損なわれることになる。
(2)フォーカシングスクリーン
見た感じザラザラ感があり,10Dの場合より多少MFが行いやすくなったがF5.6クラスのレンズだとMFは難しい。
(3)レリーズタイム
65mSなので,遅れは対して気にならない。
(4)連続撮影速度
5コマ/秒の速度であるが,カワセミ等の飛び物を撮影する場合は最低条件であり,出来れば8コマ/秒が欲しい。
(5)連続撮影枚数
RAW画像での撮影が殆どなので6枚では少ない。CFへの書き込み速度が早いというものの連続撮影を行うと直ぐにBuusy状態になるので撮影時に注意が必要である。
(6)AF精度
中央測距点には,F5.6対応センサーの倍の基線長を持つ,F2.8レンズ対応中央横センサーを配置。F2.8より明るいレンズ使用時は,より高精度なAF撮影ができます。(残念ながらF2.8の望遠レンズを持っていないため恩恵にあずかれません。)F5.6対応2ライン測距の中央縦センサーと,F5.6対応中央横センサーにより高精度なクロスタイプ測距を実現しています。さらに、従来よりも基線長を伸長した対角4測距点,左右測距点により精度を高めています。センサーの測距輝度範囲はEV0.5〜18と光が少ない場所でも正確なフォーカスが得られます。・・・キヤノンHPより
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AFセンサー | AFセンサー配置図 |
とのことで,中央AFポイントの性能が高いとされています。では,このカメラが他社製カメラと比較して本当にAF精度が高いのでしょうか。その検証結果はここにあります。
この検証結果より20DのAF性能は高いとは言えません。そこで20Dを使用して所有しているレンズの実写性能試験を行ってみました。その検証結果はここにありますが,レンズにより多少の違いがあるものの全てのレンズに於いて解像度にバラツキが出ます。EOS20Dのカメラの位置づけを考えた場合,このAF性能は仕方がないと諦めた方が良い。
2.レンズ
野鳥撮影用に使用しているレンズは以下の通りです。各レンズの描写性能に関してはここに纏めています。
レンズ外観 | 仕 様 |
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品 名:EF500mmF4.5L USM 発売年月:1992年3月 購入年月:2005年10月(中古) 最短撮影距離:5m 最大径x長さ(mm)x(mm:130×390 質 量:3,000kg 特 長:フルタイムマニュアルフォーカス,フォーカスプリセット機構,フォーカス敏感度切り換え等操作性も抜群。 |
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品 名:EF400mmF5.6L USM 発売年月:1993年5月 購入年月:2005年4月 最短撮影距離:3.5m 最大径x長さ(mm)x(mm:90×257 質 量:1,250kg 特 長:焦点距離400mmでありながら,手持ち撮影も可能な軽量・コンパクトな超望遠レンズ。価格の割に高解像度の評判が高い。 |
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品 名:EF300mmF4L IS USM 発売年月:1997年3月 購入年月:2005年7月 最短撮影距離:1.5m 最大径x長さ(mm)x(mm:90×221 質 量:1,190kg 特 長:手ぶれ補正機構を搭載した,軽量・コンパクトな超望遠レンズ。流し撮りなどでファインダー像を安定させる『手ぶれ補正モード2』を搭載している。 |
(1)メインのレンズは500mmです。IS付きのF4が欲しかったのですが,中古でも手が出せる金額ではありません。F4.5と0.5暗いため1.4倍のテレコンを装着すると20DではMF撮影となるので苦手です。しかし,解像度は流石で絞り開放から満足な解像度が得られます。しかし,このレンズ+20Dでも,この質量に耐える3脚と雲台をセットして担ぐと長距離は歩けません。経済力と体力を考えるとこのレンズで我慢です。
(2)400mmは暗いのが難点です。明るい場所で有れば1段絞ると500mmに負けない解像力があります。3脚が必需品になりますが,500mmと比較して軽い3脚と雲台が使用できるので山登りも可能です。なお,新品で購入したので製造時期が異なるためかF5.6でも1.4倍のテレコンに裏技を施すとAF撮影が可能です。
(3)300mmは一番手軽な野鳥撮影用レンズです。ISが付いているので1/100秒以上のシャッター速度では手持ち撮影が可能であり,3脚使用時と比較して格段に機動力が向上します。また,少し解像度が落ちるのですが1.4倍のテレコンを装着することにより420mm超望遠の撮影が可能です。
3.テレコンバータ
野鳥撮影及び花の撮影時に使用しているテロコンバータです。
テレコンバータ外観 | 仕 様 |
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品 名:デジタルテレプラスPRO300 メーカ:ケンコー 倍 率:1.4倍 |
(1)キヤノンよりも純正のテレコンバータが販売されているが,非常に高価です。ケンコーのPRO300を使用して,少し裏技を使うとF5.6の暗いレンズでもAF撮影が可能なのでこれを購入しました。裏技はここに説明しています。
(2)テレコンを装着すると解像度,AF速度,コントラストの低下が発生しますが,1.4倍大きくなる効果は有り難く,特に300mmレンズでの使用頻度は高いです。
4.3脚及び雲台
野鳥撮影用に使用する3脚と雲台です。
(1)500mmレンズの3脚はNeo Carmagne730にビデオ雲台501を取り付けて使用。カメラ(1DMarkUN),雲台を含めた総荷重は6.12kgと適用荷重6kgを越えているが使用可能である。なお,20Dでは適用荷重範囲内となります。
(2)400mm,300mmレンズの3脚はNeo Carmagne630にビデオ雲台701RC2を取り付けて使用。もっと軽くする場合はCARBON
713EXを使用するが,やや弱い。
5.CFカード
現在使用中のCFカードです。マイクロドライブも混じっていますが。
CFカード外観 | 仕 様 |
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品 名:Turbo Series CF 120X メーカ:A- DATA 容 量:8GB |
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品 名:CF115−4G メーカ:I・O DATA 容 量:4GB |
品 名:サンディスクウルトラ II メーカ:サンディスク 容 量:2GB |
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品 名:サンディスクウルトラ II メーカ:サンディスク 容 量:1GB |
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写真無し | 品 名:マイクロドライブII メーカ:IBM 容 量:1GB |
写真無し | 品 名:HPC-CF512Z メーカ:ハギワラシスコム 容 量:512kB |
写真無し | 品 名:HPC-CF512V メーカ:ハギワラシスコム 容 量:512MB |
(1)CFカードの値下がりは続いており,速度も速くなっていますが,まだまだ高価です。512MBのCFカードはカメラが10Dの頃に購入した物で今よりもずっと高価でした。1GBになると手が出せずマイクロドライブの1GBを購入しました。CFカードの1,2GBは20Dとなり1枚当たりの画像サイズが大きくなったのと,野鳥撮影を始めたので購入しました。また,4GBはカメラを1DMarkUNとしたことにより,連写枚数が増加したので購入。
また,1万円以下で8GBのCFが購入できるとのことで,マイナーなメーカであるA-DATAのCFカードを購入しました。しかし,これが曲者で1DMarkUNや20Dでフォーマットして使用すると直ぐにエラーが出て使い物になりません。現在はパソコンでフォーマットして使用していますが,5GB以上にデータが増えると,再びエラーが出ます。このメーカの製品信頼性は薄いので購入の際はそのつもりで。
(2)CFカードの速度は40倍,80倍と高速化されていますが,その速度と価格を考えた場合,サンディスクウルトラ
IIで十分実用に耐えます。なお,I・O DATAの4GBCFは115倍速とされています。それに比べてマイクロドライブの速度はやや落ちますが,実用に耐えます。他と比較してハギワラのVシリーズは速度が目に見えて遅く,非常用にしか使用できません。
(3)マイクロドライブはハードディスクであり,信頼性が低いとされていますが今のところ問題がありません。
6.フォトストレージ
遠征時の必需品です。CFカードが幾らあっても足りませんのでストレージに保管します。
フォトストレージ外観 | 仕 様 |
品 名:HDPS-M10 HDD メーカ:ソニー 容 量:40GB バッテリー容量:1GBのメモリースティクPROを15回までコピー可能。 |
(1)折角購入したが満充電でCFカードを使用すると,5GB程度コピーした程度でバッテリー切れで電源が落ちてしまったことが有る。実際のコピー可能容量はバラツキがある。CFでは10GBが限界か?ただし,コピー速度は速く1GBのCFカードで5分少しである。・・・電源が勝手に落ちる現象は修理に出すとSONYバッテリーの不良と言うことで電池交換済み。
(2)修理後も電源か勝手に落ちる現象が再発したので,常にAC電源が必要となっています。或る掲示板では同様の現象が沢山書き込まれており,SONY電池の不良であると思われます。欠陥製品なので購入は控えるべきです。
7.パソコン&プリンター
カメラはデジタルカメラであり,その画像の確認にはパソコンが要ります。また,撮影した画像の色が正しい色である必要があり,それ相当のモニターが必要です。次に,家庭でも簡単に写真画像が印刷出来るプリンターが必要になります。
撮影はRAW画像で行っているため,RAW画像の現像ソフトも必要になります。
パソコン関係 | 仕 様 |
パソコン | 自作機でメーカは無し CPU:Pentium4 2.4G RAM:512MB ソフト:Windows Xp ハードディスク:280GB+250GB 内蔵ドライブ:DVD/CDドライブ 外付けドライブ:DVD/CDドライブ |
モニター | 液晶:FlexScan L557 メーカ:ナナオ |
RAW画像現像ソフト | Adobe PhotoshopCS2 |
プリンター | PX-G920(8色顔料インク) PM−880C(4色+黒染料インク) |
(1)パソコンは仕事柄20年以上の使用実績があり,自分好みの機器を入手するには自作しか手段がなかった。ハードディスクは主として画像保存の容量が多く,280GBと250GBを実装しました。ハードディスクは有寿命部品であり,やがては破損するので250GBはバックアップ専用としています。
(2)パソコンのパフォーマンスとしては,現状では脆弱の部類となるが20DのRAW画像用としては十分な性能です。
(3)モニターは画像表示で評判のナナオ製とし,カラーマネージメントシステムを構築しました。いくら良いカメラで撮影しても,モニターでその色を再現できなければ話になりません。
(4)キヤノンのRAW画像ソフトとしてはDPPがあり,カメラに付属していますが,使い勝手が悪く処理速度が遅いので,高価ですがAdobe
PhotoshopCS2を使用しています。
(5)プリンターは保存性を優先して顔料インクプリンターを使用しています。
よくプリンターで画像印刷した場合に,印刷画像がモニターの色と合わない話を聞きます。合わなくて当然なのですがカラーマネージメントを勉強することにより少しでも印刷画像をモニターに会わせることが出来ます。その方法は,少し話が難しいのですがここに解説しています。
以上の機材以外に,リモコンが必需品です。野鳥撮影の場合,野鳥が暗い場所にいることが多くシャッター速度が1/50秒以下になることも多々あるためカメラのシャッターボタンではブレてしまいます。