4.再入院,延命治療,治療拒否(2015年2月18日~3月24日)

 
 再入院して胆管にステントを入れる手術をしたり,腹水を抜いたりで抗がん剤治療を行うための治療をしてもらいましたが,3月23日に医師より治療不可の宣告を受け自宅療養を進められました。しかし,その時は既に妻は殆ど動けない状態に症状が悪化しており,妻は死を覚悟して延命治療を拒否しました。
わが家では妻の残しし残り香と多くのゴミが我を出迎え 2月18日
手術後に麻酔が覚めぬ吾妻は死人の如く静かに眠り 2月19日
冷え切った我が家に帰り痛感す 絶対一人の暮らしは出来じ 2月19日
病から暴言吐くは吾がためぞ 泣きごと言わぬ強き妻なり 2月20日
妻と母ともに介護が必要で 老老老の介護と言いしか 2月21日
メールでは元気な返信する妻の苦しむ姿想像できて 2月22日
休みたい思う気持ちも妻の顔見たくて今日も病院通う 2月22日
買い置きし食品期限切れにしが 妻の期限は切れずにいてよ 2月23日
炎症の反応ひどく治療不可 延命をなす抗がん剤の 2月23日
体調の不良も重なり不安増し自律神経狂い始めし 2月23日
病床の妻との会話暗黙の禁句は”死ぬ”と”膵臓癌”と 2月24日
フルーツをのせたケーキを求む妻 食べるためには痛み止め要り 2月25日
妻が居ぬ灯(ひ)の無い我が家帰りつき一人で食べる夕餉はまずし 2月25日
妻のため粥を炊こうと炊飯器買い求めしが食できるのか 2月26日
医師からの呼び出し電話何事か不安ばかりの道中遠し 2月27日
2月28日
わが妻の退院予定覆し苦しむ妻に緊急手術 2月28日
妻余命覚悟を決めて医師に聞き 残酷すぎて涙する吾 2月28日
気疲れも重なり体調悪けれど妻が逝くまで倒れはせぬぞ 2月28日
疲れ果て見舞いを止めて休みたいされど我妻不憫でならず 3月1日
家内への恋慕憐愍なくすには 嫌いになれと思えぞ無理や 3月2日
病状が更に進みて再手術 気強き妻も涙を浮かべ 3月3日
延命の治療がための手術でも治ると信ず我が妻哀れ 3月3日
不治なのに”頑張りましょう”と言う医師は感情隠す術のある人 3月3日
病めた時元気な時と違う妻余命短く愛しさ増して 3月3日
腹水を抜いたと妻はよろこびし死期の迫るを知らぬが悲し 3月3日
お見舞いを持ちて病室訪れし友に”お返し”できじと言う妻 3月5日
家内との別れの覚悟決めねばと葬儀の会場探すさみしさ 3月5日
葬祭費「高くつくから未だ逝くな」言うは別れが辛いからなり 3月5日
頑張れとハイタッチする担当医妻の余命を知らぬが如く 3月6日
見舞うたび妻の容態悪くなり それに伴い吾も落ち込む 3月6日
不治知らず「なぜ治らぬ」と妻が聞く 返答できぬ吾が胸張り裂け 3月7日
妻のためさみしき葬儀いやと言う我は甲斐性なしではないぞ 3月7日
妻見舞い葬儀の会場決めし帰路 冷たい雨が心も冷やす 3月7日
先がない妻の遺影と我が遺影共に準備しその時を待つ 3月8日
涙など見せぬ家内を涙さす残忍ながん憎くてならず 3月11日
粗相して下着汚した我が妻のプライド庇う口下手の吾 3月11日
夫婦とも病と看護の限界か精神状態異常をきたす 3月13日
疲れ果て病院通い辛い吾「無理せんといて」と妻が言う 3月14日
病室を出でんとするに寂しげな笑み愛おしや妻が手を振る 3月15日
笑い声聞こえてこない病棟の談話室には悲しさ聞こえ 3月17日
「済みません」感謝の言葉聞くよりも妻の苦言を聞く方がよい 3月17日
闘病で泣き言一つ言わぬ妻 われ気遣いての心配りぞ 3月17日
表面は明るく強く振る舞えどその内面と落差激しき 3月18日
物事に動じない妻弱わくするすい臓がんは残虐非道 3月18日
携帯の着信表示病院は家内異変と鼓動早まる 3月19日
妻治療”万策尽きた”と医師が言う医療技術ががんに降伏 3月20日
医も愛も術無きものか我妻の命を奪う病魔不条理 3月20日
自宅にて介護も出来ぬ甲斐性無し己の弱さに情けなくなり 3月20日
主治医から「頑張っている」の慰めで思わず涙す介護の辛さ 3月20日
1日が過ぐれば1日減りてゆく妻との時間桜咲くまでか 3月20日
ホスピスは終の棲家と思わせし 緩和病棟に呼び名を変える 3月20日
医師からの病状説明 妻安ず善意の嘘と判断したり 3月20日
この世では妻との時間どれぐらい残っているか誰か教えて 3月20日
片付けが苦手で買い物好きな妻 我が家放置し逝ってしまうか 3月22日
ホスピスで最後迎うるを覚悟する こは吾が妻の本心なるか 3月23日
自ずから延命治療断りて不治の病に涙ぐむ妻 3月23日
夫の吾の弱さ知りたる妻だから自宅療養断りたるか 3月23日
残余命知らぬ家内は頑張った治ると信じ辛さに耐えて 3月23日
延命の治療拒みしわが妻の心中思いて言葉を無くす 3月23日
妻余命そっと聞きしは1週間 思わすように医師は言いけり 3月23日
パンパンに浮腫みし足で歩行不可歩ける吾を羨む家内 3月24日
病にて浮腫みし足をマッサージ気持ちが良いのか妻眠りたり 3月24日

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