10.季節が変わって,精神状態も少し安定して(2015年10月1日~12月31日)
 
 早いもので春と夏が過ぎて,秋がやって来て妻の余命宣言されてから1年が経過した日がやって来ました。精神状態も少しだけ安定して,妻の遺産整理や家の整理を完了しました。
本棚の隅で見つけし赤手帳家内の文字に懐かしくなり 10月1日
妻逝きてはや半年が過ぎにしも うら悲しきは秋雨降るから 10月1日
家事全て逝きし家内が敷き残すレールの上でわれ生活す 10月1日
降りやまぬ雨はないよと人言うが吾胸中は雨の日多し 10月1日
懐かしき名曲聴きてよみがえる あの時妻と過ごしし時を 10月2日
ころころと日々変わり行くわが心今日は雨だが明日は晴れてよ 10月2日
わが妻の右目ほとんど見えじとも しばし待てれば光明みえしに 10月3日
在りし日に妻と歩きし遊歩道 秋の夕暮れ一人影のび 10月3日
春爛漫さくら並木の遊歩道 ひとり散歩で秋桜眺む 10月3日
話せえじ遺影の妻に話せしは夢の中にて願い伝えと 10月5日
いつまでかこんな生活つづくかを 自問自答に正解みえず 10月7日
春になり黄泉に出かけし吾妻の帰り待ちして秋が来たりぬ 10月7日
陽が沈み紅に染まりし秋の空妻をしのばすマジックアワー 10月7日
目標は目的ありてたてるもの わが生活の目的なにぞ 10月7日
古希過ぎて初めて行きし特売日安売りなのか判断できず 10月8日
遠くない明日にそなえて迷惑をかけたくないと身の整理する 10月9日
黒色のネクタイだけを残しおく我に唯一必要なりと 10月9日
不用品ゴミとみなして廃棄する われはこの世に必要なりか 10月9日
妻逝きて買い求めたるわが衣類心のくらさ隠して派手に 10月9日
やや派手と思いし衣類買いしわけ 吾が見苦しさ隠すためにぞ 10月9日
店員が勧めしシャツは派手すぎて気恥ずかすぎる古希の吾には 10月9日
金色の花の香りを教えたる妻を偲びて咲く木犀花 10月10日
桜から季節の花は移ろいて もの悲しきや晩秋近し 10月10日
病みしとき妻が使いし掛布団その残り香にうれし懐かし 10月11日
夕餉でのおかず日記に書き止める 痴呆症にて腎不全なり 10月11日
在りし日に妻が準備すおかずには吾を気遣う愛が入って 10月11日
買い置きし夫婦湯飲みに想い出の未練無いぞと強気で捨てる 10月14日
亡き妻が残せし遺品価値不明吾には不要で捨てるしかなし 10月15日
わが家から妻の歴史が減っていくこの寂しさに耐え忍ばねば 10月15日
亡き妻の遺影を見つめ「お迎え」に来て欲しいのと願いする秋 10月15日
一人住む男やもめの我が部屋を見るに見かねて掃除する叔母 10月16日
亡き妻が買い求めたる食器類すべて捨て去り水屋も寂し 10月16日
ボツイチと分類さるるわが暮らし悪魔の癌に妻奪われし 10月17日
笑っても泣いても1日過ぎていく できることなら笑っていたい 10月18日
偶然に妻が与えしジーンズと同じ品買い喜ぶあわれ 10月22日
”しゃぁない”という言の葉が無かりせば吾が精神は狂い果てしか 10月25日
わが家での女の命三面鏡妻逝きしのち不要になりて 10月28日
ふるさとの墓前に納む妻遺品 吾との誓いしめす品なり 10月29日
秋深く山が色づくわが家墓地 霊標前に妻の遺品埋め 10月29日
春に逝く家内の名前刻みたる霊標の文字永久に残れり 10月29日
わが妻の遺影を連れて墓参り秋の日差しの出迎えうけて 10月29日
妻のためエビスビールとケーキ買う秋深まりし七月命日 10月31日
妻逝きて7ケ月が過ぎにしも心の妻はまだ健在なり 10月31日
運不運人それぞれに差はあれど意思に反して人は皆死ぬ 11月1日
今生の別れとなりし我妻を心の中で永久に忘れじ 11月1日
ころころと猫の目よりも変化する吾が心情は体調しだい 11月1日
妻逝きて初めて感ずこの寒さ 秋深まりて寂しさも増し 11月2日
亡き妻が吾に残しし衣服には彼女の愛が縫い込まれしか 11月2日
目の前に白く輝く姫路城逝きし家内は見ることできじ 11月4日
亡き友の妻より別れ聞きしのち吾が妻想い目頭熱し 11月4日
ジーンズはブルーと誰が決めたりや妻が買い来しグレーはいずこ 11月6日
亡き妻に多量に供えする訳は食べたかったと思わせしから 11月7日
シングルに仕立て直しし毛布団は妻と使いし歴史を残す 11月8日
亡き妻の介護をしたる3ケ月われを10年老けさせにけり 11月9日
わが家から妻の想い出減っていき寂しさだけが心に残る 11月11日
亡き妻を幸せ多き生涯と言われし吾の幸せいずこ 11月11日
親友の最後を話す奥方に強い夫婦愛感じさせられ 11月11日
親友に介護の辛さ教えられわが妻の死をいかに思うか 11月12日
今秋に喪中ハガキに妻の名を記入するとは予想もできじ 11月12日
わが妻の喪中ハガキを発送し今年の残り少なしを知る 11月12日
亡き妻の面影偲ぶわが心何をなしても心癒せず 11月15日
スーパーに買い物に来し人達は老人多く吾が身とにるか 11月15日
居間にいる遺影の妻に語る吾いつの日までもこを続けしか 11月15日
逝きしおり涙を流ししわが妻の涙は感謝か口惜しさなりか 11月15日
この吾を看取りし後はハワイへの移住を夢む妻は先逝き 11月20日
赤い実を見つけて妻を思い出し思わず買いしイチゴ甘いか 11月22日
頻繁に夢に出ずりし逝きし妻 逢いたく願う潜在意識か 11月24日
わが妻の嫁入り道具整理すみ 部屋で廃棄をさみしく待てり 11月26日
秋深く心も寒く身も寒く自宅で待つは妻の遺影のみ 11月27日
晩秋で寒さ増しにし独り家で無事に冬越す自信はあらじ 11月27日
痩身と傷心ともに重なりて骨身に染みる寒さ感じし 11月27日
亡き妻が残ししダイア処分する思い出多し心斎橋で 11月28日
ゴミの山「なんとかする」と言いし妻 己が遺品は処理費用なりや 11月28日
妻逝きし悲しさ徐々に薄れるも寂しき気持ち更に増したり 11月30日
妻逝きて遺品整理で八ケ月家から出した廃棄物多量 11月30日
わが妻のすい臓犯ししがん細胞いつの日からか潜みたりしか 12月1日
急激に妻の体調狂わせし思い出辛い12月となり 12月1日
40年共に暮らししわが妻の変化気付けじ吾を今責む 12月1日
去年はと思い続ける悲しさは来年4月の桜咲くまで 12月1日
生きてきた己が歴史の専門書 整理しながら父を敬い 12月2日
家内さえ健在ならばこのような買い物せじと亡き妻偲ぶ 12月3日
自転車で妻を見舞いし辛い時期思い出させる今日の寒さは 12月4日
若き日に妻が作りしカーテンはわが家の歴史染み込みており 12月4日
亡き妻の遺品整理を急ぐ吾 己のがこの先判らじからぞ 12月5日
わが家では遺影の妻と住みたるも体温感じず返事もくれず 12月6日
たらちねの母を乗せたる車椅子妻を乗せしは過ぎにし日となり 12月8日
待ち人の居ない我が家に灯りなく冬至近くて夕闇早し 12月8日
己がため生前整理行いて生きたる歴史消えにし本箱 12月9日
吾が妻が健在なれば しなかった 生前整理寂しきものぞ 12月9日
何気なく「一人暮らしに 慣れたか」と聞きにし人は妻帯者なり 12月11日
目途もなく気力も無くてただ一人 生きる楽しみ誰か教えて 12月11日
鬱なとき哀歌が浮かび 躁なとき短歌を詠める気分になれず 12月12日
わが妻の笑いと涙残ってるソファーは我が家の歴史を留む 12月12日
浴室の掃除頼みし人の言う”妻が現れ礼を言ったと”
 亡くなった家内は,未だ我が家に居るのです。そして,妻に代わって浴室の清掃を行ってくれた女性に「有難うございました」と言ったのでした。まともに家事ができない私を気遣ってくれているのです。
12月14日
わが家から妻の家財が消えたるも妻の記憶は永久に忘れじ 12月14日
わが家から妻の歴史が消え去りて40年の埃が残り 12月14日
女房と畳はなんとか言うけれど綺麗な我が家妻に見せたし 12月15日
リホームが済みにし部屋でぼんやりと一人ぼっちで孤独に耐えて 12月16日
わが妻のすい臓がんと言う病 知りにし日から早や1年が 12月18日
妻逝きて男やもめに蛆がわき明るき家庭枯れてしまいし 12月19日
孤独にはからきし弱きわが暮らし心もとなく心細けれ 12月19日
寒さから在りし日の妻想い出し妬みばかりの師走になるぬ 12月21日
日暮れ前スーパーからの帰り道妻と歩きし日は過去となり 12月23日
我が家での妻が作りしすき焼きは先にうどんを入れて炊きにし 12月23日
これからも去年と同じ一人でのクリスマスイブ迎えたくなし 12月24日
クリスマス,正月来ても今の吾世が浮かれても沈んだ気持ち 12月24日
メリーとかハッピーとかと言われても他人事にてめでたくもなし 12月24日
お供えにケーキ買いたる今日の日はメリーではないクリスマスイブ 12月24日
昨年の今日は医師よりわが妻の余命宣告されにし日なり 12月26日
残余命短すぎにてわが妻に言えぬ苦悩にわれ耐え抜きし 12月26日
妻余命受け入れられず悩み抜き妻には何も言わぬと決めし 12月26日
寒々と人のぬくもりなき居間で遺影の妻は寒くないのか 12月29日
昨年の今日は家内の退院日不治を知らずに帰宅喜び 12月29日
いまだでもこの1年が幻であってくれとの思いが消えず 12月31日
強き妻死を受け入れて亡くなりし弱き己は生き恥晒す 12月31日
幸せと言う感情を失いしこの1年は悪魔だらけぞ 12月31日

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